Project Story

Mission 03

八ヶ岳ペットネット
ペットツーリズム発展のため立ち上げた
広域観光ネットワーク「八ヶ岳ペットネット」。

八ヶ岳を人もペットも楽しめる場所として、
もっと情報発信していくべきだと決意

セラヴィリゾート泉郷が運営するホテルのうち、ひときわ特徴的なのが愛犬と一緒に宿泊できる「わんわんパラダイス」だ。今でこそペットと宿泊できる宿泊施設は増えてきたが、他に先駆けてこれを立ち上げ、全国に9施設を展開している。2011年、八ヶ岳わんわんパラダイスの支配人として現地に赴いた勝田は、このエリアが抱えるある課題を次第に実感するようになる。愛犬と泊まれるホテルだけに、宿泊するのはほぼ愛犬を連れた人だ。八ヶ岳は自然環境が素晴らしく、愛犬ものびのびとできる。だが、一度ホテルを出ると飼い主ははたと困ってしまう。愛犬を連れてランチをできるところはどこか、愛犬と一緒に遊べる施設にはどんなものがあるのか、そういった情報が整備されていないのだ。ホテルとしては独自に情報収集をしており、お客さまに聞かれればご案内することはあったし、お客さま自身が見つけて知らせてくれることもあった。また、こうした情報を集めて案内している有志団体もあるにはあったが、あまり知られておらず、ネットで検索してもすぐに出てこない。「わんちゃんにも人にも環境が良い土地なのに、この状況は良くないのではないか?」、勝田の中に次第にその思いが募っていった。

そんな状況で2年が過ぎた2013年4月、八ヶ岳エリアが観光圏実施計画の認定地域となり、その中でペットツーリズムを推進していく動きがあった。山梨県は八ヶ岳、山中湖といったエリアを抱え、同様の高原リゾートが多数ある長野県も隣り合わせだ。「山梨県もペットツーリズム推進として事業予算化され、行政も動き始めた。今こそ我々もどうにかするべき時期なのでは」そう考え、勝田は始動した。

愛犬と一緒に宿泊できる「わんわんパラダイス」。他に先駆けてこれを立ち上げ、全国に7施設を展開している。

思いに共感したメンバーが集まり
「八ヶ岳ペットツーリズム協議会」が誕生

考えたのは八ヶ岳にあるホテル・ペンションをはじめ、あらゆる店舗、施設と一緒になってペットツーリズムを後押しするような仕組みを作ることだった。勝田の呼びかけが形になり、広域観光ネットワークとして「八ヶ岳ペットツーリズム協議会」(通称「ペットネット」)が立ち上がった。例えばホテル同士が競合だから、と競争意識を戦わせていては始まらない。「まずは一緒にやりましょう」と各方面に声をかけ、理事長や各エリアの理事を選出し、活動がスタートした。

最初は理事らがホテル、飲食店、土産店、観光施設、地元企業、動物病院、ショッピングセンターなど、さまざまなところに声をかけて回った。協議会に加盟する条件は、愛犬連れで施設に入れることはもちろん、設備等の配慮も必要になる。情報は「八ヶ岳ペットネット」というタイトルで作るHPと、作成するパンフレットに掲載し、加盟金はそのための費用として使用する計画だった。そのほかイベントの運営も視野に入っていた。協議会がリストアップした施設は250。「50でも集まればいいなあ」、勝田はそう考えていた。しかし初年度の加盟数はなんと80も集まった。八ヶ岳のエリアの魅力を増すために、想像以上に多くの施設がこの取り組みを受け入れてくれた。さらに、観光地域ブランド確立支援事業の補助も得られ、作成した5万部のパンフレットは加盟店をはじめ、県のアンテナショップや東京・千葉・名古屋・大阪のペット関連イベントなどで配布したこともあって、瞬く間に配布が終了。長野県と県境を越えた取り組みであったことが注目され、新聞やメディアにも取り上げられるに至った。皆がこうした情報整備を待ち望んでいたことを、協議会のメンバーも実感することとなった。

「八ヶ岳ペットネット」のHPとパンフレット。想像以上に多くの施設がこの取り組みを受け入れてくれた。

協議会の立ち上げから5年目には
加盟施設が100軒を突破

この活動において、あくまで勝田は影の存在に徹した。セラヴィリゾート泉郷という名前も極力出さずに動いた。ペットOKのホテルを運営する規模の大きな企業が表に出れば、それだけで「宣伝目的では」と思われてしまう。行政に情報を提供する際は社名も伏せるようにしたし、実際会社のプロジェクトとして動いているものではなく、理事の面々もボランティアだった。協議会の目的はあくまでここを訪れたペット連れの人たちが楽しめるようにすることであり、必要なのはそれぞれの施設が自分たちで努力し、エリア全体で相乗効果を上げていくことだ。実際、加盟した施設は概ねスムーズにペットを受け入れており、中にはペットOKの水族館や、アウトレットモールでのペット受け入れも可能になり、またレストランのテラスを増設して商売を繁盛させる飲食店も出てきた。こうした活性化こそ意味があることであり、何よりペットと一緒にここを訪れて楽しんでもらえることが、わんわんパラダイスの支配人である勝田としても喜ばしいことだった。

好調にスタートを切った八ヶ岳ペットネットは、加盟する施設も順調に増え、2014年には全国ペットツーリズム連絡協議会などが審査するペットツーリズム大賞において「促進貢献賞」を受賞。5年目の2017年には加盟施設が100軒を突破した。八ヶ岳ではわんわんウォークや飛行犬撮影会、スノーシュー体験、ドッグフェスタなど、愛犬関連のイベント開催も増え、ペットと行くなら八ヶ岳、という認識がペットオーナーにも広がりつつある。「10年後には、協議会などなくてもいいぐらいに、八ヶ岳といえば、どこでもわんちゃんと一緒に行けるところだと認識してもらえるような場所になっていれば」と勝田は言う。八ヶ岳をいつでも、どこでも自由にペットと好きなところに行ける場所に。そんな夢を叶えるため、勝田や協議会のメンバーの活動はこれからも続く。

八ヶ岳をいつでも、どこでも自由にペットと好きなところに行ける場所に。

Project Member

  • 運営推進統括部
    部長

    勝田 聡志
    1990年に入社し、不動産やリゾート会員権販売、ホテル勤務などさまざまな部署を経験。2011年から2014年、八ヶ岳わんわんパラダイスの支配人となり、「八ヶ岳ペットネット」の立ち上げに携わる。

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